体育祭×友情

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今までで1番の歓声が沸き起こる。 その瞬間がまるでスローモーションのように見えた。 鬼島君が先頭でゴールを走り抜けるその瞬間が。 リレーで1位になったことにより、うちのクラスは 総合優勝したことになる。 だから、クラスのみんなは跳び跳ねて喜んだ。 そんな中私は…嬉しいって気持ちはもちろん あるんだけど、それよりも未だに信じられない 気持ちで鬼島君を見つめてしまう。 自分が人前であんなに大きな声を出したことも そうだし、鬼島君が1位でゴールしたことも。 何だか夢を見ているような感じがする。 気付けば、私はクラスのみんなから少し外れた 所に立ち尽くしてた。 やや乱暴に腕で汗を拭った鬼島君は、ふいに こちらに顔を向けるとそのままゆっくりと 歩いてきた。 その姿はまるで狼のようで、やっぱり存在感が 凄い。 もうリレーは終わったはずなのにドキドキと 心臓がうるさい。 鬼島君はいつの間にか私の目の前までくると、ただ 顔を見上げていた私を見て表情を緩めた。 …えっ?と思った時には頭の上に大きな手が 乗っていて、ポンポンと軽く撫でられる。 「応援ありがとな。」 そう言った鬼島君の声は、すごく優しくて 心の奥がくすぐったくなった。
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