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そう言った声はどことなく照れていて、それが
分かってしまって更に恥ずかしくなった。
さっきまではなかった、触れ合う腕の鬼島君の
体温がやけに熱く感じる。
自分で言い出したことだけど、なんてことを言って
しまったんだろうって焦る。
…今更焦っても遅いけど。
おずおずと顔を上げれば、いつも眼光鋭く前を
見ているはずの鬼島君のどこか困ったような顔。
やっぱり目元は赤い。
頬も髪の毛に負けないくらい赤い。
「何だよ?」
ふいに視線をチラリと向けられる。
ドキドキと心臓の音がうるさい。
何か言わなくちゃって思うのに、何にも考え
られない。
「あっ、えっと…」
「あんまジロジロ見るなよ。」
「うん…ごめんなさい。」
口調も少しきついし、何だか鬼島君が怒っている
ように見える。
謝ったのと同時に顔を下げた。
…そうだよね。
いくら友達でも、あんまりジロジロ見られたら
いい気はしないよね。
一人、反省をしていた私の頭上から───
「別に怒ってるわけじゃねぇ。」
何とも言えない、鬼島君の声が聞こえた。
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