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───次の日、鬼島君は学校に来なかった。
それまでは遅刻することはあっても、一限目の
授業には間に合っていたのに。
初めは寝坊でもしちゃったのかなって思って
いたけど、二限三限とどんどん授業が進んでいく
度に心配になった。
おかげで授業に集中出来なくて、気付けばチラチラ
と教室のドアばかり見てしまう。
でも、鬼島君が教室に入ってくることはなくて
ついにお昼休みになってしまった。
「はぁ。」
独りでにため息が漏れる。
少し前までは、一人で居るのが当たり前だったし
慣れていたつもりなのに、今は寂しく感じる。
たった数ヶ月だけど、鬼島君の存在は私にとって
とても大きなものになっていたんだなって思った。
前までは一人でお弁当を食べることなんて何でも
なかったのに、行き場がないような気持ちになる。
思わずお弁当をぎゅっと抱えた私は、教室をそっと
抜け出し、通い慣れた屋上へと向かっていた。
昨日に続きお天気は雨。
屋上に行っても意味がないけど。
…こんなことなら鬼島君のスマホの番号を教えて
もらっておけばよかったな。
なんて、考えてしまう。
実は、タイミングが掴めなくて未だに連絡先を
知らない。
そもそも初めての友達だから、どんな風にしたら
いいのか分からない。
そんなことをぐるぐると考えながら階段を
一段一段登って行くとふと、人影が見えた。
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