花火×約束

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それから大変だった。 家に帰って早々に、友達と花火大会に行く約束を したとお母さんに報告したら大騒ぎ。 どんな子なのかとか、いろいろ聞かれたけれど まさか男の子だとは言えず…当たり障りのない ように答えるので精一杯だった。 でも、私に初めての友達が出来たことにお母さんは 嬉しそうで、何だか安心する。 "花火大会にはやっぱり浴衣でしょ"と言って どこからか探してきた浴衣。 それはお母さんが若い頃に着ていたもので、紺地に 紫陽花の柄のもの。 決して派手じゃないけど、一目見て気に入った。 花火大会は来週だって言うのに、楽しみ過ぎて 勉強に手がつかなくてその日の夜、ついスマホを 手にとってしまう。 『あのね、花火大会のことをお母さんに話したら 浴衣を探してきてくれたの。』 まだ慣れないLINEでメッセージを送ったのは もちろん、鬼島君。 花火大会を一緒に行くから、待ち合わせとか いろいろやりとりがあるだろって、やっと連絡先を 交換することが出来た。 すぐに返事はこないかなって思っていたのに 数秒で既読になったから驚いてしまう。 そしてその直後に突然、電話がかかってきた。 「えっ!?」 戸惑いながらも、通話をタップしてゆっくりと スマホを耳につける。 「もしもし…?」 『なぁ、マジか?』
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