ヤンキー×アニメ

6/12
前へ
/113ページ
次へ
噂には聞いていたけど、こうして姿を見るのは 初めて。 喧嘩では負けなし、怒らせたら即病院送り 学校に来ることはほとんどなくて毎日外で 警察に追われている───そんな噂を思い出した。 確かに同じクラスらしいけど、新学期になって 一週間…鬼島君は一度も学校に来ていなかった はず。 だから、さっきの彼が驚いたのも分かる。 もちろん私も例外ではなくて、噂でしか聞いたことがない、ある意味都市伝説みたいな人が目の前に 居ることに驚いていた。 どこに居ても目立つような赤みがかった茶髪。 耳には校則で禁止されているはずのピアスが光って いるけど、それ以上に眼光の方が光っている。 引き締まった顔に鋭く光る瞳。 ───例えるなら狼みたいな人。 思わず立ち尽くしていた私に、鬼島君は然り気無く 足を踏み出して距離を詰める。 「あんたさぁ」 唐突に話しかけられて、ビクンッと体が跳ねた。 …どうしようどうしよう。 もしかして私、さっきよりピンチなんじゃない かな。 逃げたくても、この鋭い視線を前にすっかり 恐くなってしまった私の体は固まっている。 目の前に立った鬼島君を見上げると、あまりの 存在感に圧倒されて声が出ない。 背の高さから、完全に見下ろされる形になる。 何を言われるんだろう? いや、何をされるんだろう?  ビクビクと、まるで捕食前の草食動物のような 気持ちで居たら… 「ああいう時は声を上げないと駄目だろうが。」 ───信じられない台詞が聞こえてきた。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加