ヤンキー×アニメ

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私はまさかそんなことを聞かれるとは思って なくて、一瞬固まる。 鬼島君の鋭い視線が注ぐ中、慌てて教室を 歩き出した。 早くしろよって急かされるかと思ったけど 特にそんなことはなく、ただ静かに待っている。 グラウンドから響いてくるサッカー部の声だけが よく聞こえてきた。 その机に近づいて、そっと指をさす。 チラリと鬼島君を振り返れば、ゆっくりとこちらへ やって来た。 もしかして怒ってるかな? 声も出さずに指をさすだけなんて…。 密かに怯えていると、机の前に来た鬼島君は おもむろに口を開いた。 「まさか一番後ろとはな。」 そう。 鬼島君の席は、教室の窓側の一番後ろの席。 たぶん先生がいろいろと気を回したに違いない。 ふっと鬼島君は視線だけ隣に向ける。 そしてポツリと呟いた。 「あんたの隣か。」 思わずビクンと肩が跳ねる。 何を隠そう、私の席は鬼島君の隣。 誰も居ないはずの今の教室で、机の横に鞄が かけてあるから気づいたんだと思う。 じっと、まるで射るような視線。 やっぱり怒っているんだろうか? さっきから私の態度はきっとよく映ってないと 思うし。 次に何を言われるんだろうとビクビクしていたら はっと息を吐いた鬼島君は、急にくるりと背を 向ける。 「安心しろよ。 滅多に学校には来ねぇから。」 背中越しに言われた台詞が何故か胸に刺さった。
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