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祖母の葬儀の際、叔母の嘆く様子は大変なものだった。妖怪泣き女を彷彿とさせる号泣振りはパフォーマンスめいていて、かえってぎこちなく感じた。
しかし、そう思えたのは、私たちとのぎこちない関係性ゆえかもしれない。
祖母の死を前に、嫁たる母からは清々しさすら漂っていた。祖母の度重なる入退院に付き添い、衣食住の負担以上に快適な生活を提供し世話し続けてきた母にとって、祖母が重荷だったのは仕方ないことだ。
その酷薄な態度の内側に、やることは全てやったという達成感めいたものがあったのだと理解するならば、嫁ながらアッパレとも言える。
母はもともとセンチメンタルとは縁遠いクールな精神構造ではあったのだけれど、目星をつけていた葬儀場が使えずバタバタしたことも原因だろう。涙を流し別れを噛み締める姿を欠片も見せなかった。
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