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♯4 地獄の底から
「さぁ、キスしてェ……」
ジルは甘えるような口調でキスを催促した。
「フッフフ、ワガママで毒舌家のお姫様だな……」
仕方なく勇者も笑顔で応じた。
ゆっくりと唇が重なり合う寸前……。
『ドッガァーーーーン!!』
まるで、爆発したようにスイートルームのドアが吹き飛んだ。
「キャァーーッ……」ジルが悲鳴を上げた。
「ぬうゥ……!!」
一斉に勇者と魔王の愛娘ジルは抱きあったまま、ドアへ視線を向けた。
ドアが壊れ、モウモウと白い爆煙が立っている。
『ヌッハハハハァァァ……』
突如、室内に地獄の底から沸き立つような不気味な笑い声が響いてきた。
「ぬゥ……!!」勇者とジルが顔をしかめ、爆煙の方を見つめた。
ゆっくりと、ひとりの影が砂煙りの中から現われてくる。
「!!」勇者の眼光が鋭くなった。
マントを翻し、魔王が姿を現れる。
『ヌッハハハァ……、勇者ジャスティン!!
我輩の愛娘ジルに手を出そうなど、百億年……、いや百兆年早いわァ〜ーー……!』
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