エピローグ

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エピローグ

『ピンポーン♪』 「あ、津野来た」 「おう、早く出てやれ」 湊は、パタパタと玄関に向かう。 今日は半年ぶりに、修斗が帰って来るので、津野も呼んで四人で食事をすることになっていた。 「おー、津野いらっしゃい」 「お邪魔しまーす。この部屋来るの久しぶりだわー」 津野は、最近髪を染めて、随分と垢抜けた。 元々イケメンだったけれど、水上が居なくなった『Kanon』では、すっかり1番人気だ。 「お、来たか、男前」 「徠斗さんこそ、相変わらずカッコイイっすねー」 二人で軽口を言うくらいには、親しくなり、湊はそれが嬉しくて仕方ない。 「これ、うちの近所に最近出来た店の唐揚げ。美味いっすよ」 津野は、唐揚げの包みを徠斗に渡す。 「いいねー。修斗の好物」 「もちろんリサーチ済ですから!」 「俺も好きー!けど今日は、徠斗くんの 特製肉巻きおにぎりも楽しみ!」 湊はご機嫌でキッチンを覗きこんでいる。 「へえ!美味そう!」 津野も一緒にキッチンに入り、邪魔邪魔!と二人して追い出されてしまった。 「そろそろ修斗くん帰ってくるかな」 湊は、チラと時計を見た。 「あ、そうなの?」 津野は、何故か髪を整えて少し緊張している。 「ピンポーン♪」 「あ、帰ってきた!」 湊が玄関に向かうと何故か津野も付いてきた。 「ただいまー!湊!」 ドアを開けると相変わらずかっこいいスーツ姿の修斗が立っていた。 「おかえりなさい!修斗くん」 「久しぶり!」 修斗はそう言っていつものようにハグをする。 家族のハグだ。 「あの!俺もいいですか?」 何故か後ろから津野が言った。 「え?」 湊は、修斗から離れて津野を見る。 「修斗さん、俺もハグしたい」 「え?あー、うん、いいよ」 何故かぎこちない二人の視線が絡まりあっている。 湊は、そおっとその場を離れて先にリビングに戻った。
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