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ゆえに、その一応の初デート。例え、いつもの駅のショッピングモールまで行って、ペンタブとコピックを一緒に買うだけなんだとしても。行くなら行くで、気合を入れようとは思っていたのである。問題は、この日に備えてお洒落服を買ったつもりではいるものの、私自身が自分のセンスに1ミリも自信を持っていなかったこと。決めきれず、明日行く前に選べばいいやなんて思った結果、デートの直前まで服を選ぶ羽目になっているということである。
我ながら、計画性がなさすぎる。付き合わされる姉もいい迷惑だろう。
「もーはっきり言うけどさあ」
呆れ果てた様子で、姉の紗雪が言った。
「このままウダウダ悩んでて、デートに遅刻するのが一番人としてダメだからね?可愛い服を来ていきたいのが女の子の心理なのは理解するけど、本気でどこまでも追及したいなら当日に選んでちゃだめ。もうここはさっさと妥協しなよ。それともあんたは、自分の都合のために、要クンに迷惑かけてもいいってなわけ?」
「そ、そんなことない!?」
「だったら。次からはともかく、今日はあたしがコーデ選んであげるから大人しくその通りにしなさい。もう時間ないから文句は一切受け付けないよ」
「……すびばせん」
結局。彼女は私が引っ張り出してきたワンピースやパンツの類は全部しまってしまい、黄色のスモックブラウスと黒のストライプが入ったコールパンツを着るように指示してきた。普段の服装とあんまり変わらないではないか、と私が苦い顔をすると。
「文句言うなつったでしょ。あんたいろいろ買ってきたはいいけど、組み合わせ全然考えないで好みのものぶっこんできただけなのが見え見え!柄物に柄物合わせるとか下品の極みだし、あと上もヒラヒラのフワフワ、下も同様じゃメリハリなさすぎるわけ。バランス考えなさいよバランス!秋口の今の季節なら、それくらいの色が一番周囲に馴染むでしょ。スモックブラウスが一番体格隠れてあんたは好きなんだろうし、下をちょっと細めのパンツにする方が足長く見えるから。あ、あとネックレスは派手すぎないやつね、そこの……銀色の羽根飾りっぽいちっちゃいやつくらいがベストかな。あと間違っても靴下とスニーカーで行くんじゃないわよ、そのズボン足首は見えるんだから、この間買ったラメ入りのサンダルくらいがベターでしょ。以上、何か質問は?」
「……何もないです、アリガトウゴザイマス」
ここまでがっつり考えてもらっては、私から何か言うことなどできるはずもない。
今後はもう少し、後先考えて服を買って選ぶことにしよう、そう決める私だった。
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