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陸と海と空
僕は今、航空会社のパイロットとして働いている。空の景色は最高だ。地上では雨が降っていて暗い空でも、飛行機で空を覆う雲を突き抜けると眩しいくらいの晴れ渡った景色が広がる。
しかし、今日でこの景色とも暫くお別れだ。
「雲海が綺麗だな。山口君のラストフライトの相手が私で良かったのかな?」
「寧ろ、赤松機長と最後に組めて嬉しいです。機長も長年のフライトお疲れ様でした」
「お互いに今日が最後だな。私は地上に降りるが、君は空よりも高いところを目指すのか。自分のことのようにわくわくするよ」
赤松機長はこのフライトを最後にパイロットを引退する。そして僕も。窓から見える雲海が僕達を白く明るく照らしていた。
お互いにラストフライトを終えて地上に降りた時、職員のみんなが拍手で出迎えてくれた。
「機長、お疲れ様でした!素晴らしい空の旅をありがとうございます!」
「山口君、宇宙飛行士候補生おめでとう!これからの活躍を応援しています!」
機長と僕は大きな花束を受け取り、航空機の前で共に仕事をしてきた仲間たちと写真を撮った。
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