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このトンネルを抜けると山に囲まれた景色となり、次のトンネルを抜ければ僕が座っているA席の窓から、水平線が見える大きな海が一面に広がる。
青い海と青い空、そして地上を走る青い列車、陸海空が同じ色になるこの瞬間が僕はたまらなく好きなのだ。
車窓風景を楽しみながら、次の停車駅で降りる準備を始める。休日ということもあり、車内はほぼ満席だ。
「すみません、次の駅で降りるので」
と、隣に座る小柄な女性に声をかけた。
「あ、私も次の駅で降ります」
と、女性が微笑んで言った。
駅に着き、女性は立ち上がり「では、」と会釈をして先に降りていった。
僕は列車を降りた後、トイレを済ませコンビニに寄って目的地である小高い丘へと向かう。
列車が通ってきた線路の横を歩く。キラキラと輝く海の反対側には、いくつも高い山があり所々に設置されている看板には「動物注意!」と書かれてあった。
太古の山があり、海があり、人類の文明である線路が続く。そして、それらの上には空が広がるこの場所は僕にとって地球の聖地だ。
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