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「愛をもって世話をすればぁ、いつかこの身体に移ることもあるだろうけどぉ。あ、言っとくけど籠に入れたらダメだよ、おうちで放し飼いにしてね。ふふ。あたしはまだ暫くこの身体を借りるつもりだしぃ。その時が来れば?来ればね、戻してあげてもいいけど」
「ええっ?あ、あなた何を言ってるの!?こ、これを放し飼いですって?な、そんな、そんなそんなっ馬鹿なこと」
「あぁ、じゃあいーよぅ。殺すなら殺せばいーじゃん。あんたの娘だけど。それともあんたの『物』だったっけ?殺せば戻らないけどぉ、それでいいなら」
「何を言ってるの!冗談にもほどがあるわっ!そうよ。実はもう意識もはっきりしてるんでしょう?おふざけの時間はもう終わりよっ!いいからもう!帰るわよっ………」
母親はリズミーの腕を強引に掴んだ。
その弾みでバランスを崩した小鼠が落下する。
アスファルトに叩きつけられる寸前のことだった。
突発的に竜巻のような暴風が、リズミーの足元から立ち起こったと同時に鼠が地面に衝突するのを防いだ。
鼠は軽やかに風に舞い、狙ったかのようにリズミーの腕に掴まり落ち着く。
暴風は父親と母親の顔面をも強く打ち付けた。
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