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瞬間、波打つように歪んだ皮膚、その奥に沈んだ瞳で母親は風を操るリズミーを確認した。
よく見知った娘の顔だが、それは紛れもなく違うものだった。
敦もまた思った。
これはなんだ。
この少女の中身は人間なのか。
どこか・・・・・・人間をはるかに超越した存在のように感じる。
「お前は、神、か……?」
聴いてから愚かな質問だなと敦は我ながら思った。
そんなはずもない。けれど、しかし。
リズミーはカラカラと笑った。
「人も神から出たものじゃないか」
その笑みの理由が分からず、返す言葉に息詰まる。
少女はほわほわした雰囲気に空気を戻すと続けた。
「何を不思議に思うことあるの。風も地球の血液の一つ、巡りじゃない?その龍の背にあたしたちは乗っているんだ。聴いて。空の音、地の音、風の音、生物の音、全て、全てのリズム。耳を澄まして。心で聴いて」
「な、何を……」
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