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茫然とし、事態を全く飲み込めていない母親の肩に、リズミーは再びちょん、と小鼠を渡した。
「いい?お母さん。ラストチャンスだよ。この子が死んだら、もう身体は返せないよ。あんたは『人』を『物』としてしか見ていない。それを改めなければ、この子は戻ったって同じ道をまた選択してしまう。どういう意味か、分かるよねぇ?」
「え?あ、あ……」
「死んだら、あたしには分かるからね」
笑みの奥に鋭いナイフのような冷たい光を煌めかせ、上目遣いでリズミーは両親の顔を見つめた。
両親は絶句し、そしてもう、鼠を迷惑気に扱いはしなかった。
二人は何が起こったのか存分な理解も出来ないまま、リズミーに向かって小刻みに首を縦に振ると、慌てて駐車場角に停めていた高級車に乗り込んで帰っていった。
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