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「・・・・・・お前、実は中身は鼠でした~・・・なんてことはないよな?」 「・・・・・・はあ?」  小さく呟いたつもりだったが、リズミーにはしかと聴こえていたようだ。  歌うのを止め、運転席に抜ける小窓からじーっと目を細めて、不満げに敦を見つめている。怒っているのかと首を竦めると一転、彼女はプッと吹き出して大声で笑い出した。 「あ~っはっはっはっ!入れ替わったと思ってんのぉ?ブブー!考えが浅はかだなぁ。鼠の魂ならとっくに次の輪廻に飛ばしました~!」 「はっ!?」 「転落の時に偶然近くにいたからぁ、あの子の受け皿に身体を借りたんだけどぉ、一つの身体に二つの魂は入らないじゃん?だからぁ、消去法」 「へっ?じゃ、じゃあ、ん?その理論で行くとだな、お前、リズミーお前のその、心は」 「もぉ~いいじゃん。詮索ばっかしなくてもさぁ。久しぶりに身体を持ったんだよ?今しか出来ない体験を多くやりたいんだよ。そう、その一つが」  そこまで言うとリズミーは再び歌い始めた。天真爛漫な、のびのびとしたハイトーンボイス。鳥のさえずりのような、天上人の声のような唯一無二の声色。
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