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「おいお前、そこから顔出すなよ。高速も乗るんだ。いいか、そこの紐をたすき掛けにして肩に掛けろ。運転中は絶対動くな。それが嫌ならここで降りとけ」 「嫌だあ。降りないよぅ。それより、うん。おじさん、お腹すいた」 「はあっ!?てめえ腹ペコか?」 「うん。なんかちょ―ーーーだい。お腹ぐるぐる」 敦は引きつり笑いをしつつ、コンビニで小腹用にと多めに買っていたおにぎりを渡した。少女は手に取るやいなやあっという間におにぎりをたいらげた。 「ひゃあ、おいひい、おいひい」  ほっぺにご飯粒をくっつけて豪快に笑う。包んでいたおにぎりの袋はぐちゃぐちゃだったが。なんだか幼児の相手をしているようだ。  キーキーと小さなげっ歯類の声が耳に入り、敦は驚いて荷台から小さな鼠を摘まみ上げた。少女だけでなく、こんなものまで居候を企んでいたようだ。  これ以上面倒を引き受けてたまるかと敦は鼠を駐車場そばの灌木の奥に投げ捨てた。
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