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母親の吠えるような剣幕に敦は言葉を失った。
この母親は、娘に会えてたった今涙を流していた。
けれどその涙も乾かぬうちに、娘を会社の備品のように、私物扱いをしている。
大切な娘というよりは、会社存続のために必要な駒がなくなって探していた感覚に近いのではないだろうか。
母親の言葉を父親も否定しないところを見ると、そう考え方に差異はないように見えた。
もしかして世間体を気にして、通報はせずに親族だけで捜索をしていたのではないだろうか。
「あんた……」
「うん。そぉそぉ、だからねぇ、この娘は自殺を決めたんだよぅ」
「へっ?」
衝撃の言葉に敦は驚き、背後に立つリズミーを振り返った。
リズミーはいつものほわほわした空気を亜空間に押し込んだかのようにピリピリとしたオーラを漂わせていた。
その目は野生動物のそれのように殺気立っている。
リズミーは淡々とした声で母親に語り始めた。
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