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「居場所がなかったんだよぅ。心が安らげる場所が。だからこの子は歩道橋の上から飛んだんだ。そして偶然ねぇ、このトラックのホロの上に落ちた」 「え……?何?何を言ってるの、この子は」 「その拍子に魂が抜けてぇ。だからあたしはその代わりに入ったんだぁ」  狼狽する母親を気にする素振りなく、リズミーは冷笑し、荷台へと踵を返した。そしてそこから一匹の鼠を拾い上げる。 「あっ!そいつは……」  初めてリズミーに会った頃、荷台から追い出したはずの小鼠だった。  リズミーはそれを手首に乗せると、自分の両親の方へと持ち上げて見せた。 「ほいっ」 「きゃあああっ!な、何をするの?やめなさいっ!」 「えぇ?これが、今のあんたたちの娘だとしても?」 「………えっ?」 「そーだよ。これの中身は、あんたらの娘だよ」  何を言っているのか、理解できるものはこの輪の中にはいなかった。  敦も次々と発覚する驚きの真実と展開に口を挟むことが出来ない。  キーキーと鳴く鼠は何かを母親に訴えようとしているようにも見える。  リズミーは嫌がり肩をすくめる母親の腕に強引に小鼠を渡した。
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