必死に足掻く

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 また、何かあれば浬くんがウチの親の間の楯になってくれていた。  そして浬くんは社会的には信頼度がずば抜けて高い人種だし、ウチの親も信頼しきっている。  ──だから、私のいない理由も何とでも成り得る。  私は眠らされてどれくらい経過したのだろう。  体中が痛いことを考えると一日……いやそれ以上は眠っている。  気怠さと格闘しながら必死になって頭を働かせる。 (どうなっているの!)  私はこの状態から抜け出そうと必死になって考えようとした。  しかし、少しすると急激な睡魔が襲ってくる。 (ダメ! また眠ったら……)  焦れば焦るほど何もできなくて、涙ばかり出てきてしまう。  気が付くと私の傍には浬くんが立っていた。嬉しそうに愛おしそうに……私の髪を撫でている。  そしてそのまま私の傍に座ると、浬くんは私の涙を拭った。 「ゆっくりおやすみ」  その顔は勝利を確信したかのような笑顔だ。 (ダメ…だ。くやしい……私はなにもできない)  私はそのまま何度目かの眠りに落ちた。
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