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願った先に
──ガタンッッ!
私は机諸共倒れ込み、その音が響き渡る。
一瞬、静寂が辺りを包み込む。私はその無音がとてつもなく怖かった。
しばらくして、扉をドンッドンッとノックする音が響く。
「おい! 誰かいるのか!」
ひと際大きな声が響くが、私はどれだけ足掻いてもその問いかけに答えることができない。
(……気づいて!)
私は今までにないほど祈った。
どれくらいかというと、たぶん宝くじ当選以上に祈ったと思う。
全身には鈍い痛みが走っているが、クスリの影響なのか然程感じていない。
それよりも、私は気づいて欲しいことに必死になって……本当に……足掻いて足掻いて「私に気づいて!」と心の中で叫んでいた。
腕を動かすと、鈍い痛みが腕から伝わってくるが、そんなことは気にならなかった。
──ドンッ!
それはひと際大きな『音』が部屋中に轟いた。
「あーもう、誰かいるのかよっ!」
そんな叫び声と共にまた一回、扉に体当たりする音が響く。
「おい、誰かいるんだろ!」
叫びながら扉を押し開けようとするその『音』が、私の覚醒を促すかのように心の中で響いていた。
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