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何回目かのその音で──。
床に転がっていた私は、自分ではどうしようもならない身体を必死になって起こし、顔を上げる。
そして、空いた扉の向こうに目を見開いている彼を見つけ私は涙が止まらなかった。
「お…い! これはどういうことだ! 瑞穗どうしたんだ!」
蓮は慌てて駆け寄ると、私を抱き起してくれる。力の入らない私は、その腕に身体を預けていた。
蓮が扉を開けてくれた。助かった……。蓮が助けてくれた……。
私はこの時ほど世の中の全てに感謝したことはないかもしれない。無神論者で、家は仏教だが、もう全ての神に感謝していた。
「蓮……たす……けて……」
私はなんとか声にならない声で縋り付く。
頑張ったのだが、そこで緊張の糸が解けたのか……私の意識はそこでまた、途切れてしまった。
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