平穏な日常へ

2/2
前へ
/55ページ
次へ
 また蓮くんが大学で灯弥と菜月にも『簡単に』入院経路を伝えてくれたので、二人は『酷い貧血だ』と思ってお見舞いに来てくれた。 「本当に、二日ぐらい連絡なかったから心配しちゃったんだからぁ」  状態を起こしている私に、灯弥が泣きつく。  菜月も心配だったみたいで、「よかったぁ」と言いながら抱きしめてくれた。  私は、二人が心配してくれたことで、改めて『助かった』ことを実感し、涙が止まらなくなってしまった。 「ほんとよぉ~、あんなに音信不通なんて今までなかったじゃない? 本気で犯罪系に発展したと思っちゃったんだから」 「ほんと、腕にヒビはいるなんて災難よね」  二人して、私の腕を見ながらそう話す。  そんな中、私は一つの疑問が生じていた。 『浬くんを見ていない』ということであった。  今までの経緯や、何かしらあったけど、周りには浬くんのことは流れていない。  携帯など私の所持品は戻ってきたが、浬くんからの連絡は一切なかった。 「ねぇ、浬くん……は……」  私は自ら地雷を踏んでいるかもしれないという恐怖の中、おずおずと二人に尋ねてみた。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

91人が本棚に入れています
本棚に追加