浬くんは……

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 二人が帰っていくのを見ながら、シレッと蓮は私に聞いてくる。 「あれ? 邪魔しちゃった?」  邪魔というか……無言の圧力というか……。 「え、あーううん、なんか用事あるみたいだし」  私も適当に合わせ取り繕う。  そして私は思い出したように、さっき二人から聞いた浬くんのことについて質問した。  それはかなり勇気のいることだった。 「あの……浬くんは」  それを聞いてちょっと黙ってしまう蓮。しばしの沈黙の後、笑顔になってこう答えた。 「邪魔だから海外へ行ってもらうことにした」  な……邪魔? 海外に行ってもらうことにした?  なんかちょっと不明なことをサラッと言われていますよ? 「邪魔とか……」  私の口からは疑問がするっと飛び出している。  蓮は困ったようなちょっと複雑な表情をして頬を少し赤らむ。  ふぅ、とため息をつくと、私の傍により椅子に座った。
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