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激怒する二人
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「なにちょっと! それ犯罪じゃない!」
キャンパスのカフェで灯弥の声が響く。
何回目だろう……このデジャヴ。私は頭を抱えながら過去のシーンと格闘していた。
あれからすぐに、私は退院して大学へも戻った。
私の両親は、浬くんが急に海外へ行くことになった経緯を、彼が『上手く』伝えていたようで、「瑞穗、すぐ戻ってくるからって言ってたから」と慰めてくれていたが、そんなのいらん! と心の中で叫んでいた。
ホントですよ……私が今まで培ってきた浬くんのイメージ像返し欲しい。
蓮は入院していた総合病院の息子さんだったらしい。
あとで、弁護士を動かして今回の左遷劇を仕組んだことを蓮から簡単に聞いた。
詳しくは分からなかったけど……お家柄いろいろとコネクションはお持ちの様子である。そして、あの超絶美人はお姉さんだとか……イケメンは一家でもお美しい家族なのね。
「それでも水無瀬教授の実力や地位がアレだから成し得たんだよ。そう言う意味ではあの人は凄い人なんだよ」
と認めている部分もある様子である。
私は……ほんとにどうなるかと思ったのに、とお怒りモードなのは尤もである。
それを蓮は宥めてくれていた。
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