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「ごめんね、蓮」
代わりに謝る。私の友人の失態は私の不始末。
しかし、蓮は「なんのことだ」と言わんばかりに、笑ってこっちを見ていた。
「俺もアイツは嫌いだが、瑞穗の友人として認めているよ」
そう言うと、顔が近づいてくる。真っ赤になって咄嗟に「キスされる」と思ったが、私の唇をすり抜けて耳元まで近づくと「所業は許せんけどな」と囁かれる。
あ……腰砕けそう。
私の顔を見ると面白そうにクスクス笑っている。
これ絶対揶揄われた!
私はムカッとして、そっぽを向く。
そんな私の頭を撫でると、「瑞穗は可愛いな」と止めの一撃を刺してきた。
……私振り回されている気がする。
それでも嬉しかった。蓮の笑顔が私に向いていることが。蓮が私を見ていることが。
私は連の手をギュッと掴むも、「あまりやり過ぎると拗ねるんだから」とボソッと呟く。
そして連の引っ張ってキャンパスを歩き出した。
【了】
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