83人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
再開
「きみは確か」
爽やかイケメン!
「あれぇ~小鳥遊くんもキャンプとは言ってたけど、瑞穗……コイツがあの?」
爽やかイケメンはビックリしたかのように、浬くんを見る。
「先生、この人は?」
先にお隣さんが質問を投げかけた。
「この子は、彷徨瑞穗さん。ここの大学3年生。これでも家がご近所さんでね。で、こちらが大学院生で僕の助手もやってくれている小鳥遊蓮くん」
「この前はご迷惑をおかけしました! 彷徨瑞穗です!」
私は咄嗟に立ち上がって頭を下げる。小鳥遊さんはにっこり微笑むと「こちらこそ、お世話になりました」と言ってクスッと笑っていた。
なんかちょっとこの人、失礼かも……。
私がムスッとしているのを見て、なんか浬くん嬉しそうな? 表情をしている気がした。
携帯にメッセージが入って、それが灯弥だとわかり携帯をカバンの中に仕舞った。今日は灯弥と一緒に菜月のレース観戦の予定なのである。
菜月はほんとにカッコイイというか凄い! というか。レースがあると参戦していて、私たちはその時は必ず応援に行っていた。
「今日は菜月ちゃんのレースかい?」
「うん! 浬くんも今度一緒に行こうよー!」
私はウキウキしていたので、そのノリで浬くんも誘う。これでもたまに一緒に菜月の観戦に行ったりしていた。
菜月はモータースポース女子である。親が走り屋さんというかクルマ好きのせいで……家にもそんな車が何台かあるし、某マンガのように気が付いたら、菜月もそんな感じに速く走れるようになっていた。彼女も走ることは嫌いではない。
主にF1っぽい周回レースだが、直線レースのドラックレースもたまに出ている。夜中にこっそり峠や最高速も走っているのは秘密にしておこう。
私も乗せてもらったが……あれはジェットコースターのような重力のかかり方で、絶叫系が苦手な私は失神しそうになった記憶がある。それ以来、応援に徹していた。
灯弥はおネェでもさすが男の子。たまに菜月の車に乗っては良い感じに走っているのを知っている。でも「ちょっと感覚を楽しむ」程度のようだった。
私は……ムリムリ! 大体免許がAT限定だもん。MTは走れないの決定! 私はキャンプ行くのもあるから、家のSUVが気に入っているしね。
「失礼しますぅ~、瑞穗いますぅ~?」
浬くんの部屋まで灯弥は迎えに来てくれた。
入室した時に灯弥が一瞬立ち止まっていたのは……たぶん、浬くんの部屋の人口密度が一人多かったからだろう。
「今日はごめんねー朝霧くんにお守り頼んじゃって」
浬くんは苦笑しながら灯弥を招き入れた。
「大丈夫ですぅ~いつものことですしぃ。ねーっ」
浬くんに灯弥がにっこり微笑む。
「ごめんねーいつも乗せてもらって」
私は灯弥にペコリと謝る。彼はいつも出掛ける時は車を出してくれるのだ。私がたまに「クルマ出すよー」って言っても「えぇーっ! 瑞穗の運転怖そうだからぁ~アタシにま・か・せ・て」とウインクされて、それ以来はお世話になっている。
そんなに運転怖いかしら……私。
うーん、と考えていると、灯弥が時計見て「遅れるわよぉ」と私を突く。私は部屋で資料整理している小鳥遊さんに一礼すると、浬くんに「バイバイ」をして、灯弥と部屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!