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週末はやっぱり……
サーキット場で、カッコイイ菜月の走りを堪能し、その日は3人で帰りに外食して帰宅。帰ると同時に浬くんから「おかえり~」とメッセージが入る。
これもいつものこと。「ただいまー今日は楽しかったよ」と返答すると、「それは良かった」という返答が返ってきた。気にしてくれていることに、ちょっと嬉しさなんか持っちゃったりして部屋に入る。
その後は疲れたのか、私はお風呂入ってゴロゴロしたら眠ってしまっていた。
❖ ❖ ❖ ❖
「えーなんでダメなのーっ!」
私は浬くんに反論する。
「僕がダメって言っているのではないよ? 所有者さんが今日は先約があるからってことだから」
浬くんは困った顔をしながらそう答えた。
今日は金曜日。
私は前回のキャンプ場が気に入ったので、また使用したいとお願いしていたのだ。しかし、結果は『NO』だった。かなり残念で「浬くんのイジワル」と聞こえるか聞こえないかの小声で呟き、研究室を出る。
しかし、そんなことで諦める私ではない! 携帯サイトから、私が知っている「穴場」のキャンプ場へアクセスすると、電話を掛ける。
「大丈夫ですよ」という答えに即答で予約を入れた。
ここはトイレとか水場が遠かったりでちょっと不便なんだけど……、かなりアバウトに受付してくれるので予約を取りやすい。私は携帯を切ると鼻歌交じりに大学のカフェへ歩いて行った。
カフェは人も疎らで座る場所には困ることは無い様子であった。
私は2人を見つけて駆け寄る。オープンテラスで菜月と灯弥が座って待っていてくれたのだ。
「瑞穗、どうだった? キャンプ場、今日もそこへ行けることになったの?」
クリームソーダを飲みながら菜月が聞いてきた。菜月はカッコイイ女子だが、クリームソーダとかスイーツ好きは、私と馬が合う。
「ううん、今日は先約だって」
私は首を横に振った。
「あらやだぁ~ダメって言われた訳ねぇ」
灯弥がコーヒー飲みながら「水無瀬センセ心配だからかしらねぇ」と付け加える。
「先約だって言ってたからだよ~そこまで過保護じゃないし」
私は慌てて否定すると、冷たい目線が二組。二人ともため息をつくと「これだからこの子は」と言い合っている。
何それ? そんなに過保護なの? 私そんな実感あまりないんだけど……。
「だいたい、なんで金曜の今日になってからの、キャンプ場当日予約なのよ」
菜月はクリームソーダのアイスクリームをすくいながら尋ねてくる。
「だってー私有地だし、空いてる! 埋まらない! って思っていたんだもん」
それを聞いて頬杖をついた灯弥がため息一つ。
「それは瑞穗の考えに問題があるわよぉ」
「でもでも、キャンプ場は予約入れたから、今日もキャンプ行くよ!」
私はすかさず代替え案を発表した。
「あらやだ、もう手配しちゃったのぉ?」
「あれ? なんで?」
あれ? なんか空気が変わった? そんな言葉が灯弥から出るとは思わず、聞いてしまう。
「金曜日だしー、アタシは今日はバイトなのよねぇ~で、今日は菜月に瑞穗と一緒に飲みにいらっしゃい~って話ていたのよぉーもぅ」
灯弥はそういってプイッと拗ねる。灯弥はバーテンダーのバイトを週末だけしていたのだ。
「あーごめんっ! せっかくだったのに」
私は手を合わせて全身全霊で謝り倒す。それを見て「今回だけよん」と灯弥が私の頬を突いた。
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