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私は今になって思う。あの日、私が飛び降りたら、この幸せを手に入れることはできなかった。
彼と出会うこともなかった。
絶望的なまま人生の幕を閉じただろう。
きっと、あの日私が見た景色は、私の人生そのものだった。
たくさんの悲しみや辛さ、寂しさが全て日々の明るさの中に隠れて私を襲っていた。
でも、それを乗り越えた先にはだれにも想像できないような景色が、幸福が待っている。
私は、あの日生きることを選択したことで、その景色を見ることが出来た。
だからどうか、この子にもどんなに辛いことがあってもその先にはどうか光が訪れますように。
頑張りが、実りますように。
そんな願いを込めて、あの景色に乗せて、お腹の子の名前を呼ぶ。
「虹花。これからあなたが見る世界がどうか幸せで溢れていますように。」
そういってそっと、この子の世界に虹がかかることを想像してふっと頬を緩めた。
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