2章 太陽

1/1
前へ
/9ページ
次へ

2章 太陽

「あっ……ポスターの人……」  顔を間近で見て気付いた。この子は、今眺めていたバスケ部のポスターに写っていた男の子だ。 「そう! これ、おれ! で、バスケ部のマネージャーが三年生なんだけどさ、引き継いでもらえる人がいなくて……前から探してたんだけど、どう? マネージャーなら今からでも入れるよ!」  その笑顔はクリスマスプレゼントを目の前にした子供のようで、純粋無垢そのものだった。太陽みたいな笑顔だな、と思う。 「これからちょうど他校と練習試合あるんだ! よかったら、見にこない?」  キラキラした笑顔に押され、私は考えた。   (マネージャー、か。自分がスポーツをするわけじゃない。悔しくてみじめな思いもしない。それに、バスケだし。やってみてもいいかも……) 「じゃあ、見に行っ」  見に行ってみようかな、と言いかけると、勢いよく手を握られた。体は小さいけれども手は私より一回り大きく、男の子らしくゴツゴツとしていて、ドキッとする。 「ありがとう! おれ、一年三組の飛鷹颯太。よろしく!」 「私は二組の鶴見……よろしくね」  そして私は、図書室の本を返したあと、飛鷹くんと一緒に体育館に向かった。  先程握られた手が、熱くなっていた。  
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加