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 それから何時間が経ったのか、眩しさと動悸で目が覚めた。当然目の前にある景色は変わっていない。  慣れない姿勢で眠ったせいか背中が痛い。立ち上がって体をほぐした後、少し歩いてみたがすぐに暑さで動く気を失くした。 タオルも何も持っていないので汗を拭くこともできず、どうにも鬱陶しい。  動いても不快指数が増すだけならもう動かないほうがいい。座っていても汗をかくが、奪われる体力が違う。  その場に座り、夜の間に見た夢を思い返した。  どこからここに飛んできたカラスたちに突つかれ続けて力尽きる夢、目が覚めたときの動悸はそれが原因だ。  カラスがいままで関わってきた人間だとするなら俺はどこかで疎まれていたということになるが、あり得ない話ではない。  これまで気に止めるほどの悪口を聞いたことはないが、それはただ単に自分が鈍感なだけだったのだろう。  被害妄想も甚だしいが、そんな後ろ向きな考えしか出てこない。  それならもう自分はこの世界に要らないのではないかと思う。  文字化した情報を雑誌社に売っていたが、誰とも馴れ合わず同業者たちと情報交換などをすることもしなかった。  そんな俺はこのまま砂に埋もれて骨になるのがお似合いだ。  自棄ではなく冷静にそう思う。もう終わりでいい。終わるべきだ。暑いからという理由を抜きにしても、もう動く気にはなれない。負けを認めてこの場に座り続けることにした。
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