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俺は自分に正直で人に対して素直ではない。そんな面倒な性格をしているという自覚はあり認めもできるが、素直ではない分だけ折れることができない。 何も答えずにいると少年が笑った。
「認めたくないって顔してるね」
「そうだよ。認めたくない」
分身と言うだけのことはあってよく分かっている。
「それで、本当にここで死んでもいいの?」
「しつこいな。その質問何度目だ?」
「二度目だよ。多分。で、答えは?」
「……死ぬにはまだ早いかもな」
別段いつ死んでも構わないのだが、少年を見ているうちに自らそこへ向かうのは馬鹿げているような気がしてきた。誰でもいつかは例外なくこの世から消える。それがいつかは分からないが、それまで生きてみるの悪くない。ここから出ると決めて隣に声をかけた。
「お前はどうするんだ?」
どういうつもりでいるのか確認をする。自分に訊いているようでどこかおかしいが、ある意味では別人だと捉えているのでこんな質問ができた。
「どうもしないよ。実態ないし」
「何言ってるんだ?」
「兄さんにどう見えてるかは知らないけど、霊体みたいなものだから」
「……そうか」
仕組みについてはどうでもいいが、一緒にいられないことをどこか寂しく感じた。自分と一緒にいたいなどナルシストのようだが、本当にそう思ったのだから仕方がない。馬鹿になったものだと自分に呆れながら、少年には何も言わず砂地を離れた。
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