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一ノ瀬秋(いちのせみのる)から着信が入ったのは、ラジオ収録を終えてすぐのことだった。 いくつか残る着信をジッと眺めて、何となく嫌な予感がした。 昔からこうゆう予感は良く当たる方だと自負している。 霊感体質とまではいかないけど、そういった類いの経験はこれまでにいくつかあったりする。 中でも、背筋がヒヤッとする予感はそれなりの的中率だ。 収録現場を後にして、先に呼んでいたタクシーに行先を告げて足早に乗り込んだ。 暗い夜道の中を颯爽とかけていくタクシー。過去の思い出が走馬灯のように駆け巡り、自嘲気味に笑みを溢した。 シュウくんからの電話は、彼奴が事故に遭ったという知らせだった。
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