ようこそ! オバケ屋敷へ

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「川内さんだね。いやあ、よく来てくれた。連絡をもらった時はまた冷やかしじゃないかと思っていたんだよ」  沼井さんは額の汗をぬぐいながら言った。  見た目は作業服姿のちょっとこわい親方といった感じ。  だから圧迫面接も覚悟したけど、気の良さそうな人だと分かってホッとした。 「近頃はこういう仕事はいやだ、って人離れが深刻でね。きみみたいな子が来てくれりゃ大助かりだ」 「は、はい。ありがとうございます!」 「そうかしこまらんでいい。楽にしてくれ」  沼井さんはお茶を淹れてくれた。  ええっと、こういう時は勧められるまで飲んじゃいけないんだっけ。  たしか面接マニュアルにそう書いてた気がする。 「こういう仕事には前から興味があったのかい?」 「はい。私、人と接するのが好きなんです。以前は飲食業界に勤めていました。なんていうか……人の笑顔を見るのが好きなんです」  よし、これもマニュアルどおり。  経験を織り交ぜて前向きさをアピールする。  これは良い印象を持ってもらえたハズ。  ――と思ったけど、沼井さんは首をかしげた。 「う~ん、笑顔が見たいというならこの仕事は正反対だからなあ」  しまった……!  業務内容との相性を考えるべきだった。 「あ、いえ、あの。人が怖がるところを見るのも好きで――!」 「ん? ああ、今ので不採用になんかしないよ。さっきも言ったけど人手不足なんだ。きみさえよければ明日からでも働いてほしいくらいだよ」  そう言って沼井さんは口を大きく開けて笑った。 「本当ですか!?」 「もちろんだとも」  そこから先は面接というより世間話だった。  話しているうちに緊張もほぐれ、ここで働きたいという気持ちが強くなっていった。
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