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相手なんて選びたい放題のモテ男だというのに。よりによって地味な男に走るなんて。
「もう少し仲良くなってから言おうと思っていたのに。お前が女の子を紹介しろだなんていうから」
「俺のせいかよ」
「そうだ。友達というポジションを手に入れるまでに七年だぞ」
高校三年の時から友達になりたいと思っていたというわけか。
「うっ、まぁ、お前は目立っていたし、俺は地味だったから住む世界が違うっていうか」
「大学で同じサークルに入った時も俺に関わりあいたくないと思っていただろう?」
その通りなので何も言えずに黙り込んだ。
「同じ会社に入れた時は神様が頑張れと応援してくれているのかと思ったくらいだ」
肩をつかまれる。それに驚いて睦月を見れば二人の距離が近づいていた。
それに気が付いたか、目を見開いてから照れたように視線を外す。ただし肩の手は離れていない。
「なぁ、プロジェクター、俺のために買った、とかないよな?」
「いや、そのまさかだ。お前が俺に興味を持ってくれないから、使えるものは使う」
そこまでして気を引こうとしていたとは。
「チケットもか」
「予約がとれた時はガッツポーズをしたぞ」
その姿が想像できない。
「どれだけ俺が好きなんだよ」
本気なのだと伝わってきて顔が熱くなった。
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