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「・・・え?どうしたの?」
見慣れない顔に驚いた時、小金井くんはすぐにいつもの調子に戻って笑う。
違和感を覚える暇もないまま、それは開いた。
「オレ、堺、一緒」
小金井くんの顔が“開いた”。
文字通り、中心からぐわっと。
グロテスクな映画でも見ているような気分で開いた部分から長い触覚らしきものが無数に伸びてくる。
驚きのあまり、何も言えなかった。
腰が抜けたように椅子から転がり落ちる僕を大きく包み込むように触手や広がった皮膚が広がり伸びてくる。
「・・・あ、あ・・・やめ、」
「これで一緒」
2人だけの教室。
机の上で転がるペンと千切れたノートの端。
その日、僕らは“ひとり”になった。
「あの日、小金井くんは言ったんです。」
「・・・一体なんて?」
ライターさんが言葉を飲み込むように僕の言葉に意識を向ける。
緊張しないようにと組んだ手のひらを撫でながら、僕は笑った。
ーーーあの日の小金井くんみたいに。
「僕たちはずっと一緒だって」
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