2. 駄菓子屋のチューペット

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「溶けてるし・・・・溶けてるし」 そう言いながら、そっと開けたアイスクリームはやはり少し溶けてしまっていて。あわてて口に運ぶと、あの日味わった甘い味が口全体に広がっては、姿を消していく。 やっぱり美味しい、これ。 そんな僕をうらやましそうに見つめる三毛猫に、そっと蓋にアイスをつけて前に置いてみればぺろぺろとおいしそうになめ始めた。 「僕ら、ここが好きだったんだね」 やっぱり、この日も、あのアイスはとても美味しかった。 でもどうしてか、あのチューペットが食べたくなる。 ばーさんの笑顔みたいな、やさしい味の30円のチューペット。
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