3. 望遠鏡の君

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  天体観測部は部員二名。 晴れの日は星を見て。 曇りの日は星を調べて。 雨の日は道具の整備をして。 暑い夜も、寒い夜も、凍える日も何日も何日も。 僕らは隣通しで星と共に過ごした。 (今日は、晴れるのか…) いつしか朝食時に天気予報を確認するのが日課になったころ。 僕は君の誕生日が近づいていることに気が付いた。 女性にプレゼントを贈るなんて初めてのことで。 困り切った僕はまた、星に頼る。 古本屋で君好みの星に関連した本を見つけた。 少し表紙が年期が入って擦れてしまっているのがまた良くて。 あんまり気持ちがバレてもいけないから。 ラッピングは少しにして。 君に会いに行った。
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