4. 公園の笑顔

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  ・・・まあ、つまらないただの愚痴でしかないんだが。 そんな俺は結局美術部を辞めたって、絵を描くことはやめられないわけで。 こうした今でも、こっそり学校へ持っていったスケッチブックとHBの鉛筆、薄汚れた消しゴムを手に、学校帰りに寄る比較的大きな公園に立ち寄っては毎日こうして絵を描いてる。 何をっていうか、誰を描いてるのかというと。 変態じみた事だとはどうか思わないでほしい。 たまたまだったんだ、あの日たまたまこの公園で今日みたいに、あんな風に、木陰のベンチに座り、珈琲を片手に何を思うのか悩ましげな表情を浮かべてたそがれてる彼女を見つけた。 魅力的だと、直感した。 ああ、こういったものが本来俺は描きたかったんだと。 丁度、彼女の方から見てもなんら不信感を持たれないような位置で、ひっそりと鉛筆で彼女を書き起こしていく。もう何枚目になったかわからない、最初の数ページ以外彼女を描き続けた一冊のスケッチブックはもう残り三枚になった。 変態みたいで、まるでストーカーのようだと、俺だって思う。 ただ、それでもこれだけは止められないのだ。 彼女の横顔はとてもきれいだった。 テレビに出るような美人では無いのかもしれないけれど、総合的に彼女の表情や髪、服装、表情、眉毛の下がり具合、珈琲を持つ指の長さ。すべてを見ても彼女はどう見たってきれいだった。 むしろ、どうしてこんな場所でいつも一人でたそがれてるんだろうと不思議に思うが、そんなことを気にし始めたら、いよいよ本当の変態の仲間入りを果たしてしまいそうだからしない。 ・・・でも、少し気になる。 「・・・あ」
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