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「って、貴方が夢をあきらめたわけでもないのに、ごめんなさい。失礼なことを言ってしまって・・・」
「いえ、ありがとうございます。なんだか背中を押してもらえました、すごく肩の荷が下りたというか、迷ってたものが消えたというか・・・うまく言葉は出てこないけど、俺、諦めません。絵描きの夢」
「良かった・・・応援してます。」
「ありがとうございます。その・・・描いてもいいですか?」
「ん?」
「貴女のこと、描き続けても良いですか?」
恐る恐る投げかけたお願いに、彼女は少し驚いた顔をした後、すぐにまたあの笑顔に戻っては優しくうなづいた。
「勿論!」
***
広い会場の中で、数名の人が壁に飾られた絵を見詰めている。
そんな中で、人を探そうとあたりを見渡すと。
うれしそうにこちらを見つけては、小走りで駆け寄る足音が空間に響いた。
こちらも思わず笑顔をこぼす。
そんな中で、彼女はおれの後ろに飾られた一枚の絵を見つけては嬉しそうにまた、ほほ笑んだ。
「おめでとう」
「ありがとう」
「私、きれいじゃないよ、こんなに」
「奇麗だよ、貴女は昔からずっと」
ほほ笑む二人の先に飾られた一枚の絵は。
彼女によく似た女性が満面の笑みでこちらを見つめ返してる。
その絵のしたにかけられた題名は、
――『公園の笑顔』
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