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「あ、そうだ。ともちゃん、英語の宿題やった?」
「うん!穴埋めのやつだよね?」
「え、やってきたの!?」
「…みーちゃん、もしかして」
「やってないよ〜、難しくって殆ど解けてないもん」
「先生に当てられないといいね」
「願うしかない!」
四時間目にある国語で使う習字セットをブランブランと振りながら、少し得意げなともちゃんに口を尖らせて憂鬱な気分を紛らわせた。
私達のクラス、五年二組があるのは2階だから角の向こうにある階段を登るためにしばらく廊下を歩く。
その間、いつも不思議に思うことがあるんだ。
すれ違う子達が皆、ともちゃんを見ている。確かにともちゃんは顔は可愛いし、服もいつも可愛いけど学校のマドンナ!なんてものじゃないはずだけれど。
いつもジロジロ見られてること、ともちゃんは気にしないのかなーなんて思いながらも。優しくて良い子なともちゃんなら、まあそうなのかも。なんて納得しながら、階段を登り始めた。
教室についてからは、ともちゃんは皆に挨拶する。
けれど、私だけは少し顔を俯かせて席に座った後、体を小さくして目立たないように教科書を机の中に押し込む。
これが、私の日常だ。
*******
「どうしよう…」
昼休みに事件は起こる。
「いいじゃん!遊んでみなよ!いい子だよ?」
「…でも」
私が、放課後の遊びに誘われちゃったんだ。
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