6. ともちゃん

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拳がゆっくり強ばる。 頭が後悔して、心が裂けそうで、身が消えそうだ。 イヤダいやだ嫌だよ、私だって。 「そんな事を言っちゃだめじゃん!山野さんだって五年二組の仲間だよ?遊ぶ時はみんなじゃなきゃ」 「じゃあさ、三好さんは気味悪くないわけ?」 「そうだよ、いつも話しかけないくせに」 「気味悪くないよ!クラスメイトだよ?仲良くしたいのは当たり前でしょ?」 何かわからない議論の議題に挙げられたことだけをうっすらと感じながら、私の目線はどんどん足元へ向けられ。 照りつける太陽の日差しに、眩暈がした時。 「じゃあ、聞いてみてよ。みんなが気になってること」 「え…」 「仲良くしたいんでしょ?それくらいしてみてよ」 「そうだよ!」 何かを三好さんが強いられてる。 私の足元は不安定だ。 ぐらぐら、ぐらぐらって蜃気楼が揺れる。 「………山野さん、ひとつ聞きたいんだけど」 「なに……?」 恐る恐る顔を上げた先で、クラス中の視線がこちらを向き、人生で初めてこんなに注目をされた私が、戸惑い目が揺れる。 三好さん、複雑そうな顔してる。 蝉もそろそろ鳴く頃かな。 蝉が鳴きだしたら、ともちゃんと水族館行こう。 そんな事を考えながら、三好さんの動く口がスローモーションに見えた。 「……………いつも誰と話しているの?」 蜃気楼と、私の頭が揺れた。
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