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計画は入念に練り、飛び降りという形にしたのもコストがかからないことと、親に見つかりにくそうだというその二点だけ。
「ついに、明日だ・・・」
昨夜なんて遠足前の子供のように興奮して寝れないほどだった。やっとそとの世界に行けると、私の脳みそはそう考えただけでもオーバーヒートしてしまいそうで。
何事もなかったかのように、学校へ行き、授業を受け、友人と楽しい話をして、屋上から飛び降りる。
何度も繰り返したシュミレーションは完璧そのものだった。
それなのに。
「君はどんなタイプのジェットコースターが好き?僕は最近は360度回転式のなんかはまってるんだよねぇ、あの浮遊感がたまらないけれど何より景色がぐるりと回って、世界がまるで反対だったように見えるのもいいよね!」
「・・・」
「あ、それとも急降下タイプが好き?でもわかるよ、あのふわっとした感じは宇宙をも思い浮かべるものね!君とは趣味が合いそうだ、なんなら僕と今度遊園地にでも行く?きっと楽しいよ!」
「いい加減にして!」
声を荒げた、久々に。
大きな声を上げて背中のほうを振り返って、男を見た。にらむつもりで見つめたその先で、男は驚いたようにキョトンと目を見開いている。
怒られないとでも思ってたのだろうか、そんな印象を受けた。
「どうし・・・」
「ジェットコースターに乗りたいわけじゃない。私は私の意志でここから飛び降りるんです、誰にも知られずに行ってしまいたかったけれど貴方のせいで台無し。」
「一人で乗りたい派?・・・僕は別にナンパしてたわけじゃないよ?」
「そんなの知ってます。でも貴方には関係ないでしょ!?私の人生、私が決めても誰も文句ないはずだから邪魔しないでください」
言ってやったと思えた。
自然となぜかスッキリした心持ちで、男が黙り込んだのをいいことに向きを元に戻す。
やっと死ねると思った時だった。
「・・・・っ!」
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