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その声が皆に聞こえていたのかはわからないが、僕だけがそれを耳にし、僕だけが驚いた顔をした。
そんな僕に気づいたのか、僕の気のせいなのか、王様はこちらを少しばかり見つめた後、両手を広げて叫ぶ。
ーーあの声で。
「舞台はこれにて終焉とする!アンコールは受け付けぬ。幾にもの試練があり、喜びがあり、俺には勿体ないほどの良い舞台であった!物語はここまでであるか、お前達は気にやむことはないだろう!自らの道を自らのシナリオを握りしめて歩いていけ!!!道は一つではない!!!俺人生を持って証明しよう!」
そう言うと、王様はとても悲しそうな顔をして。
「何も結末が喜劇であるとは、限らない。」
そう口にすると、体を勢いよく前へ倒して、塀の向こうから体を投げ出し、民衆のいないとても遠くの地面へ身を下ろした。
王様は飛び降りた。
突然のことに言葉を失う民衆の目の前で、鈍い音を響かせて。
王様の喜劇は、突然に終わった。
「王様は人生に抗った。」
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