8. 拝啓、電車の隣人さん

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星は綺麗だ、けれどゴミ。 私はゴミだ、けれど綺麗じゃない。 「私は嫌われるのが怖くて」 「ほお」 「嫌われるのって疲れますよね、人に嫌な目を向けられるのなんて好きな人間いないと思うんですよ。」 「そりゃ、ね」 「私、だから昔から努力したんです。嫌われないように、人に好かれる良い人でありたいって必死に。何かこう、優しく?っていうんですかね、とにかく優しく、優しくしとけば嫌われないだろって」 「うんうん」 「それが…甘かった。言われちゃいました、“あの子は厚かましい”、“あざとくてうざったらしい”って、作戦大失敗ですよ。それからすぐに学校が恐くなりました、学校という場所がその中にいる人間の目が怖くて怖くて今にも泣いてしまいそう」 「ハンカチ、いります?」 「良いです。それさっき顔拭いてましたよね、臭そうだし」 「貴女は正直ですねえ」 「本来はこういう人間なんです、何でか今は心の中で喋ろうとしても声に出てしまうけれど」 「そこは留めて欲しかった。」 揺れる揺れる、頭と髪と、それから心が。 ゆらゆらゆら、ゆらゆらゆらら。
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