夜は更く

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夜は更く

「どんな柄にすべきかなぁ……」  前野マコト、17歳。男性。彼は明日に、人生初のデートを控えている。先週、高校二年生にしてようやくできた初めての彼女。その名も、新田(にった)さくら。  ここ数日間、寝る間も惜しんでひたすらそのデートについて頭を働かせてきた。プランは完璧。彼女へのちょっとしたプレゼントも、新幹線の切符も用意してある。あとは寝坊をしないだけ、そう彼は思っていた。     しかし彼は一つ、重要なことを決めていなかった。  服装だ。  普段からファッションを意識している人であればそう大した項目ではなかっだろう。だが、マコトはそうではなかった。それどころか、彼はファッションセンスをどこかに置いてきた男であったのだ。  このままではまずい。普段高校では制服を着て生活しているため、私服で会うのは明日が初めてだ。時計は夜の11時を回った。    初デート前夜。マコトは、慌てて明日の服を選び始めた——俺たちの横で、いびきをかいて爆睡していた。
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