白い孤独

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 よく見ると、女の人は泣いていた。  その人が何歳くらいなのか僕には想像できなかった。僕より年上のようだけれど、もしかすると同じ年くらいかも知れなかった。  細くて白くて、まるで抱いている白い子猫が、そのまま人間の姿に化けたような女の人だった。 「その猫、友だちが飼っていた猫の子どもなの。」  彼女の言葉の意味は、すぐに飲み込めなかった。友だちが飼っていた・・・というのはどういう意味だろう? 「じゃ、この子猫のお母さん猫は死んじゃったの?」 僕が、そう尋ねると、彼女は両手で顔を覆ってしゃがみ込んでしまった。彼女は肩を震わせて泣いていた。 『みぃぃ・・・みぃぃ・・・』 子猫まで鳴き始めた。  僕は女の人を慰めることはできなくて、代わりに子猫の体に頬を摺り寄せて子猫を慰めた。
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