第六章『ディスライクシスター』

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第六章『ディスライクシスター』

 それから二週間。  僕は朱里をバイクの後ろに乗せて、恨んでいる相手を殺して回った。  僕のいじめに気づいておきながら、黙認した小学校の教諭。  僕が「店の商品を盗んだ」というデマが流れた際、事実かどうかも確認せずに、僕の首根っこ引っ張って店に謝罪しにいった教師。  僕がコンビニで買い物をしていた時、鞄に商品を忍ばせて万引き班に仕立て上げて同級生。  僕が「やっていない」と訴えたのに、僕のことを「犯罪者」呼ばわりして、何度も怒鳴り憑受けた教師。  僕を校舎裏に呼び出し、サンドバッグにしてきた上級生。  僕がサンドバッグに鳴っているのを見て、ゲラゲラと笑いながら動画撮影していたやつら。  合計、十三人殺した。  みんな、僕のことなんて忘れて、悠々自適で楽し気な日々を送っていた。就職した者。結婚して子供が生まれた者。大学に進学して、仲間に囲まれた者。  朱里にナイフで刺され、四肢の腱を切られ、肉をそぎ落とされている時は、皆阿鼻叫喚だった。「助けてくれ」「ごめんなさい」「痛い痛い」。僕があいつらに何度も言った言葉だった。僕が何度も、「ごめんなさい」「助けて」「痛い」と言って訴えたのに、あいつらは辞めるどころか笑うばかり。  都合のいい奴らだ。僕は、すべてを殺した。朱里に殺させた。  悪魔を買うために溜めていた二十万は、移動費と食費、ホテルなどへの宿泊費になった。  そして、クリスマスイブの日、久しぶりに、実の姉から連絡があった。
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