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◎◎◎◎
「鉄平?」
『鉄平は……ふふ。いづれわかるよ。お友達なんだ』
まだメンバーが居るのかと思うと、半ばうんざりした。
急に薄暗いビルに連れて来られたかと思えば、お友達紹介……
『ううん、急にじゃない。本当は前からこうしたかったんだ。
気付かなかった? 実は彼、ずーっと、昔から居たんだよ。そして、君が生れたときには監視も、後見人も、決定づけられていた。命令が発動したのが今日だっただけでね』
「え……」
ずっと昔から……?
そんな、そんな事が?
それは、知らなかった。
『だから、君に隠れる場所も逃げる場所も、何も無い。常にすべて包み隠さず監視下に置かせてもらう』
モニターに勝手に文字を表示される。
・シェルターの場所も送ってある
・彼がシェルターを見つけやすいように総力をあげる。衛星も持って居る。
・逃げれば逃げるだけ、全モニターに表示され、直接全国に放送される。
「ちょ、っと待って、シェルターって」
『そう、この場所も虐待日記も加害者に直接送っておいてある。鉄平だって、その為に作ったんだ』
酷い。現代にあるまじき、異常なルール。
此処でぼくが発狂していたとしても、不思議じゃないだろう。
――――要するにぼくは、ぼくになることすら許されない、と言う事らしい。
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