【02:潜入編】

3/62
前へ
/342ページ
次へ
ふと、まつりと目が合う。 ぼくが女装していた間に「こんなこともあろうかと」、持ち歩く鞄に入れていた白衣+眼鏡姿になっていた。 髪は地毛にエクステで長く伸ばして垂らしており、後ろを少しだけ結んでいる。 「もしかしたら生徒にも話を聞くと思うんだ。この方が良いと思って」 まつりは、もう決まった事だからというように、うんうんと頷いている。 曰く、「これは、お姉ちゃんのコスプレです」とのこと。  確かに、こういう女学園はいろんな事情の子が居る。 男性を見た事が無い人や殆ど交流の無い人だって居て、怖がらせてしまうかもしれないから見た目から柔らかくしよう、とかなんとか。 「でも、そっちはお前のメル友が居るんじゃないのか?」 「メールもしてるけど、アドレス知らない子もいる」 「……そうなんだ」  よくわからないが、きっとこれもまつりなりの考えがあるのだろう。 まつりとお姉さんが一体どの程度似ているのか知らないけど、 別にぼくの女装頼りと言う訳ではなく、単にぼくが潜入しやすくしているだけなのだな、などと妙な安心感を覚える。 「まぁ、わかった。協力しよう」 自分でも何が言いたいか分からなくなってきたが、とりあえず行こう。
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加