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ふと、まつりと目が合う。
ぼくが女装していた間に「こんなこともあろうかと」、持ち歩く鞄に入れていた白衣+眼鏡姿になっていた。
髪は地毛にエクステで長く伸ばして垂らしており、後ろを少しだけ結んでいる。
「もしかしたら生徒にも話を聞くと思うんだ。この方が良いと思って」
まつりは、もう決まった事だからというように、うんうんと頷いている。
曰く、「これは、お姉ちゃんのコスプレです」とのこと。
確かに、こういう女学園はいろんな事情の子が居る。
男性を見た事が無い人や殆ど交流の無い人だって居て、怖がらせてしまうかもしれないから見た目から柔らかくしよう、とかなんとか。
「でも、そっちはお前のメル友が居るんじゃないのか?」
「メールもしてるけど、アドレス知らない子もいる」
「……そうなんだ」
よくわからないが、きっとこれもまつりなりの考えがあるのだろう。
まつりとお姉さんが一体どの程度似ているのか知らないけど、
別にぼくの女装頼りと言う訳ではなく、単にぼくが潜入しやすくしているだけなのだな、などと妙な安心感を覚える。
「まぁ、わかった。協力しよう」
自分でも何が言いたいか分からなくなってきたが、とりあえず行こう。
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